光関連産業分野でリード DNAの二重らせん構造の発見やクローン羊「ドリー」の誕生など、世界をびっくりさせる成果を掲載してきた科学誌ネイチャー(本部・英国)が日本に進出してきた。光に関する月刊の姉妹誌「ネイチャーフォトニクス」はすべて英文。英語の浸透が薄い日本に英文雑誌の編集本部を置いた意味は。 ネイチャーフォトニクスは1月に創刊。創刊号は72ページ(年間購読で2万8350円)。記事はすべて英文で編集され、英国で印刷されて全世界で発売される。扱う論文や記事は主に光の性質やその応用技術など、光産業に関するもの。光はカメラや次世代DVD、超高速の情報処理だけでなく、環境や生命科学など幅広く応用されている。 財団法人「光産業技術振興協会」によると、世界の光産業市場は、02年の29兆円から15年には107兆円と4倍増が見込まれる急成長分野。1869年のネイチャー創刊以来、編集拠点を初めて日本に設置したのも、この分野をリードする企業や研究者が多いためだ。 東京・市ケ谷の編集本部で働くスタッフは3人。光通信を専攻した理学博士のオリバー・グレイドン編集長(35)らが全世界から月数十本送られてくる論文に目を通す。その一部が専門家に回され、画期的な技術開発や発見があると判断された場合に掲載する。質の高さにこだわるため、採用率は約1割と狭き門だ。 学術文献情報のデータベースを提供する米企業「トムソンサイエンティフィック」によると、02年までの10年間に光の科学と応用を意味する「フォトニクス」に関する日本の研究機関の論文は599本掲載され、米国に次ぐ。論文の質を示す引用回数も3372回に達し、米国に続く2位。米光学会から賞を受けた日本人は青色発光ダイオードを発明した中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授など、10人以上がいる。 グレイドン編集長は「米国は元々研究者が多く論文数も多い。その点を考慮すると、日本の研究は質量ともに優れている。アジア各国を訪ね、新たな成果を発掘したい」と意欲的。日本光学会幹事長の伊東一良・大阪大教授も「ネイチャー進出は世界が日本の水準の高さを認めたということ。国際競争は激しさを増している。日本発で研究の質の高さを示すことが重要」と語る。 外国の雑誌が、英語文化が浸透していない日本を拠点に英文で出されるのは珍しい。日本発の英文雑誌が海外で読まれているのも家庭画報国際版(季刊、世界文化社)など、極めて限られた分野だけだ。 洋書雑誌などの卸商として国内約8割のシェアを持つ日本洋書販売(東京)によると、国内で売れている英文週刊誌の米ニューズウィーク(NW)、タイム、ビジネスウィーク、英エコノミストなどはいずれも海外で編集・印刷している。NWとタイムはいずれもシンガポールに印刷拠点を置き、アジア版を発行する。 一方、NWやナショナル・ジオグラフィック(月刊)は日本語版を発行。NWの日本語版発行元の阪急コミュニケーションズ担当者によると、英語版(国内2万6000部)を大きくしのぐ9万部を売り上げる。 両誌とも英語版の主要な購読層は英語が苦にならない人や英語学習者が中心という。欧米諸国と違って英語人口の少なさが日本語版との部数の違いに表れているようだ。
by afternoon_news
| 2007-03-20 23:03
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