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ゆとり教育でも学力は「改善」

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 文部科学省は13日、「ゆとり教育」を掲げ学習内容を削減するなどした現行学習指導要領で学んだ全国の高校3年生約15万人を対象に、初めて行った教育課程実施状況調査(学力テスト)の結果を公表した。ゆとり教育導入前の旧指導要領で学んだ高校生を対象にした前回調査(02~03年度)と同じ問題181問で正答率を比較すると、145問(80.1%)が前回並みで、26問(14.4%)が前回を上回った。学習意識のアンケートでは「勉強は大切」と答えた生徒の割合も増加。調査を行った国立教育政策研究所は「(学力は)改善の方向に向かっている」と分析している。

 学力低下の原因とも言われる現行指導要領下で学んだ小中学生の学力テスト(03年度)でも、旧指導要領で学んだ児童・生徒よりも正答率が向上傾向にあり、授業時間の増加などが盛り込まれる見通しの次期学習指導要領の改定作業に影響しそうだ。

 テストは05年11月、全国の国公私立高校から無作為に抽出した約15万人(全体の約13%)を対象に、国語▽地理歴史▽公民▽数学▽理科▽外国語の6教科12科目で実施。同時に学習に対する意識などを問うアンケートも行った。

 全問題657問のうち、3割弱にあたる181問が前回調査と同じ問題で、前回よりも正答率が下回った問題は10問(5.5%)だった。科目別では、地理B、化学1など6科目で前回の正答率を上回る問題数が下回る問題数よりも多く、国語総合、生物1の2科目は前回の正答率を下回る問題数が多かった。日本史B、数学1など4科目は前回並みだった。

 学習内容では、国語総合の古典の正答率が低下し、英語1の「聞くこと」(リスニング)が向上した。

 各問題で正答するとみられる割合「想定正答率」(設定通過率)で比較すると、想定正答率を上回った問題数の割合は前回比4.6ポイント増の31.4%で、下回ったのは同8.7ポイント減の40.2%だった。前回調査で想定正答率よりも著しく低かった理数科目は、前回よりも改善したものの、想定正答率を下回る問題も多く、課題が残った。

 また、アンケートでは、「勉強は大切だと思う」との設問に、43.1%が「そう思う」とし、「どちらかといえばそう思う」も41.1%に達した。「そう思う」は03年度調査より3.6ポイント、02年度調査より5.2ポイント増え、学習に対する意識の向上傾向を示した。国立教育政策研究所教育課程研究センターの惣脇(そうわき)宏センター長は「現行学習指導要領は児童・生徒の学習意欲を引き出す狙いがある。意欲面も高まっており、指導要領の狙いが生きつつあるのではないか」と分析した。


 >文科相は慎重評価

 今回の調査について、伊吹文明文部科学相は13日、記者団に「『勉強したい』という人の比率が前よりも良くなっている。しかし、ゆとり教育的なものがあったから、意欲が向上したかどうかは分からない」と述べた。さらに「(学力も)プラス方向にいっているか、にわかに断定できない」と慎重な評価をし、指導要領改訂の方向性に変更点はないという見方を示した。
by afternoon_news | 2007-04-14 06:03 | ニュース
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