過去36年間、助役経験者が市長を務めてきた夕張市。市民は今回、民間の手腕に期待した。 大勢が判明した午後11時過ぎ、支持者の拍手のなか藤倉さんが妻秀子さん(67)と壇上に上がり、最初に「これから夕張の土になる」と宣言。「高齢化対策、子供など弱い方を守るところから始めたい」と所信を語った。さらに「人口を減らさないために、確実に企業を誘致したい。市民も自立しなければならない」。時折ガッツポーズをとりながらも、強い調子で市民に意識改革を求めた。 藤倉さんは旧夕張北高卒業後、故郷を離れた。神奈川県内の横浜ゴムの工場で働きながら日大経済学部2部で学んだ。持ち前の行動力で関連会社の社長に上り詰め、業績不振の会社を立て直したこともある。夕張の苦境に心を痛め「炭鉱労働者だった祖父の代からお世話になった古里を再建したい」と出馬を決意。知名度不足を補うため、「地元出身」「民間の経営感覚」の二本柱で名前を連呼した。 選挙戦は本命不在の乱立模様で、国政・地方選合わせて13回目の挑戦の羽柴秀吉さん(57)が次点に入る健闘を見せた。敗北後、事務所で「市民は大きな改革より小さな改革を選んだ」と無念の表情で話した。 過去の選挙は惨敗続き。今回も「選挙で注目されたいだけ」「よそ者」と非難を浴びた。だが、夕張と無縁であることを逆手に取り、「夕張を変えたいなら、しがらみを断つべきだ」と訴えた。他陣営からは「カネをちらつかせて市民の心を動かそうとしている」との批判が出たが、選挙戦が進むにつれて「将来に希望を持たせてくれる」(28歳主婦)という声が聞かれるようになり、支持が広がった。 元市議の候補は「議会にも財政破たんの責任がある」との批判にさらされ、票を伸ばせなかった。
by afternoon_news
| 2007-04-23 13:21
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